大腿ヘルニアとは？病気の特徴と診断から治療までの流れ

滋賀県大津市の鼠径ヘルニア専門クリニック「滋賀大津そけいヘルニア外科クリニック」です。

大腿ヘルニアは、特に高齢の女性や出産経験の多い女性に多く見られる病気です。この大腿ヘルニアを放置すると、深刻な合併症を引き起こすリスクがあるため、早期の診断と治療が重要です。

本記事では、大腿ヘルニアの症状や危険性、そして治療に至るまでの流れをわかりやすく解説します。

大腿ヘルニアとは

大腿ヘルニアとは、鼠径ヘルニアの一種で、太ももの付け根（鼠径靭帯の下側）にある大腿輪という部分から、腸などの臓器が飛び出してしまう状態を指します。主な症状は、鼠径部のやや下側（足側）が膨らむことで、痛みや違和感を感じることもあります。

鼠径ヘルニアは、一般的に男性、特に高齢男性に多く見られますが、大腿ヘルニアは、高齢で痩せている女性や、出産を複数回経験している女性に多いことが知られています。これは、妊娠や出産でお腹に力がかかることが原因で、大腿輪が広がりやすくなり、ヘルニアが発生しやすくなるためと考えられています。

鼠径ヘルニアの種類

鼠径ヘルニアには、大腿ヘルニアの他に外鼠径ヘルニアと内鼠径ヘルニアの2種類があります。

外鼠径ヘルニアは、鼠径部の鼠径靭帯の上側にあり、下腹壁血管の外側から発生するヘルニアです。主に乳幼児期の男児や成人男性に多く見られます。

内鼠径ヘルニアは、鼠径靭帯の上側で、下腹壁血管の内側から発生するヘルニアで、中高年の男性に多く見られるタイプです。

大腿ヘルニアの危険性

大腿ヘルニアが発生する鼠径部の大腿輪は狭く、脱出した腸などの臓器が嵌まり込み、締め付けられる傾向にあります。

そのため、危険な状態である「嵌頓（かんとん）」のリスクが高まります。大腿ヘルニアは外鼠径ヘルニアや内鼠径ヘルニアに比べて「嵌頓」を起こしやすいため、特に注意が必要です。

嵌頓について

嵌頓とは、鼠径部で脱出した腸が飛び出したまま、お腹の中に戻らなくなる状態を指します。

この嵌頓状態が続くと、脱出した腸が圧迫され、血流が徐々に減少していきます。その結果、食べ物が腸を通過できなくなり、「腸閉塞」を引き起こすことがあります。

さらに、腸が強く締め付けられると、栄養を供給する血流が止まり、腸が壊死してしまいます。壊死した腸から腸液が漏れ出すと、「腹膜炎」を発症し、この状態になると命に危険が及ぶ可能性があり、緊急手術が必要となります。

大腿ヘルニアは、嵌頓という危険な状態を未然に防ぐためにも、早期治療が重要です。

大腿ヘルニアの治療

大腿ヘルニアを含む鼠径ヘルニアの治療は、手術でしか行うことができません。
ヘルニアバンドという、体表から鼠径部の膨らみ部分を押さえる方法がありますが、これは対症療法に過ぎず、根治は望めません。

鼠径ヘルニアの主な手術には、鼠径部を約5cm程度切開して行う「鼠径部切開法」と、内視鏡を用いた「腹腔鏡手術」があります。また、治療にあたっては、合成繊維で作られた医療用メッシュをヘルニアの発生部位（ヘルニア門）に留置することが基本です。

大腿ヘルニアの診療科

大腿ヘルニアなどの鼠径ヘルニアが疑われる場合、受診すべき診療科は「外科」もしくは「消化器外科」です。

鼠径ヘルニアの治療は手術が必要となるため、外科的な治療を行う「外科」や「消化器外科」が適切な診療科となります。近年では、これらの診療科の中でも鼠径ヘルニア治療に特化した専門クリニックも増えており、そのような鼠径ヘルニア専門クリニックも適切な受診先です。

なお、専門クリニックや外科・消化器外科が近くにない場合は、まずはかかりつけ医にご相談いただくことを推奨します。

まとめ

本記事では、大腿ヘルニアの症状や危険性、そして治療に至るまでの流れを解説しました。

冒頭でもお伝えしたように、大腿ヘルニアは放置すると、深刻な合併症である「嵌頓」を引き起こすリスクが高いため、早期の診断と治療が重要です。

大腿ヘルニアが疑われる方は、早期に専門の医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。

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